徒然狸 -タヌキの日記-

――空。美しい空。悲しい空。何かを置き忘れてきてしまったような、空。

空について

空、見ていますか。

そらまあ日常、視界には入るんでしょうけど、意識的に見上げていますか。

おいらは思いが内面に蟠るほうなので、答を探してか空を見上げることがよくあります。

こんにちは、おいらです。

きょうはおーいお茶新俳句大賞、過去の大賞作を鑑賞してみます。

 

りょうはしにぶらさがりたい三日月だ

(8歳)

 

三日月と聞いて、画用紙の上に書かれた月に、こどもがぶら下がっている絵を想像された方も多いのでは?

しかし俳句ですので、実際の空にある、月を見て描かれたもののはずです。

空の三日月、小さいですよ。

切り絵のかけらのような頼りなさ、矮小さがあります。

しかし空気の本当に澄んだ夜、三日月を見上げると、その思わぬ鋭利さ、立体感、手の届きそうな実物感にハッとさせられることがあります。

詠み手はそのような、いつもと違う月の姿に触れ、手を伸ばせばあたかも触れそうな存在が天空高くにある幻想的な風景から、ぶらさがりたい、と表現したのかもしれません。

 

徒然狸 ―タヌキの日記―

 

筆者は盲導犬尊敬し、個人的に応援しています。
中部盲導犬協会:http://www.chubu-moudouken.jp/
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今年も俳句について

毎度おなじみお~いお茶新俳句大賞。

受賞から遠ざかって久しいですが、今年も挑戦します。

ちなみに今年は5句の応募。

・正月の帰郷

・早朝出勤の風景

・夜の雲

・夏への郷愁

・広々とした田舎風景

です。

 

ところで前回の大賞句。

毎度のことながら大賞句は桁違いにすごい。

 

獅子舞の 口へ 太平洋の風

 

せっかくなので鑑賞してみます。

この句のすごさは、場面転換です。

獅子舞

この単語は見た人の中に、それぞれ自由なお正月の風景を瞬時に湧き立たせます。

それはたぶん多くの場合、とても幸福な絵柄として静止画になるでしょう。

しかしそこに「太平洋の風」と置かれることで、一瞬にして想像の風景は海原に置き換わります。

反射的に、自分が思い描いていた正月の風景と、海との調和が図られるのではないでしょうか。

つまり、自分の過ごすお正月と、海。

自分の家が海のすぐそばにあり、その道端で行き会う人人と、正月を祝っている。

そんな風景が醸成されます。

自分の家が海辺にある、大部分の人にとってそれは、夢の中で見るような不思議な光景で、一度はあこがれた風景で。

そんな懐かしい幻想を、一瞬で、一瞬だけ、見せてくれる。

魔法のような俳句。 

 

徒然狸 ―タヌキの日記―

 

※後記

意図か偶然かしれませんが、もう一つすごさが見つかりました。

俳句と言うのは五七五の区切りから成りますが、この句は

獅子舞の|口へ太平|洋の風

というような構成になっています。

太平洋 という大きな言葉が

太平|洋という用いられ方をしたことで、日本人の意識の中にだけ現れる、ゼロ秒の区切り符が含まれ、より大きな言葉に膨らんでいる。

うーーーん。。。。。。。

 

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W次郎と花について

日本語の師として浅田次郎を崇めており、一方で新田次郎の描く山の質感が大好きです。

時代もテーマも作風もまったく異なる両者ですが、ひとつの共通点がありまして。

花が好きとのこと。

浅田次郎曰く、部屋に花を飾るという行為は自然の一部を切り取って自儘にする、非常な贅沢であるとのこと。

若き頃、食う金に困っても部屋に飾る花だけは買っていたとエッセイにありました。

一方の新田次郎はその著作に「白い花が好きだ」というものすらあり、高山植物から身近にみられる春紫苑まで、さまざまな花をテーマにした作品を遺しています。

好きな人に非常に感化されやすいワタクシは、これらの著作を読んでからというもの、道端の花に注意を払うようになり。

通勤経路の家の玄関先にスノードロップを発見して興奮したりしています。

こんにちは、変態です。

 

で。

ボランティアと言えばかっこいいのですが、休日に恩師の手伝いでイベントスタッフというか、ステージに立ったりしていまして。

今日のステージ、最後に花束と記念品を頂きました。

記念品は手作りのグッズ。

実用性非常に高いので愛用させていただきます。

そして花束。

おお、どうしようと思いましたが、心の師匠 浅田次郎の一節が蘇る。

商売柄、花束を頂くことが多くあり、あれは儀礼的なものなのでおいて帰る方もあるが、私は必ず持ち帰り部屋に飾る。と。

よっしゃと3時間弱の帰路、大切に持ち帰る。

ただ、花束を生けられるほどのちょうどいい容器はないので、ペットボトルを加工して即席花瓶を作製。

茎を少し切ってやり、生ける。

以前、絵を買ったときも生じた感動ですが、部屋の空気が変わります。

そして意外だったのがカスミソウの効果。

花束の状態では、彩度の高いガーベラの引き立て役にしか見えていなかったのですが、生けてみるとその白い花よりも、繊細な茎の部分にその価値を見出しました。

・・・盆栽の鑑賞の仕方をご存知でしょうか。

あれは、大自然を小さなスケールにそのまま写し取るような、箱庭のような世界観がひとつの楽しみ方だと思っています。

つまり、大樹をかたどることで、小さな面積に大きな世界をイメージしているのです。

カスミソウの茎は非常に細い。

面積にして、ガーベラの茎の数百分の一しかありません。

つまり相対的にガーベラがより大きく見えます。

きれいな花に、壮大な自然を見ている感覚が加わるのです。

うん。

それだけ。

 

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利便について

ド田舎の我が家ですが、徒歩1分の所にまさかのコンビニができました。

田舎にありがちの大駐車場付き、堂々としたもんです。

おお・・・。と。

 

嬉しいのはまあありますが、実はそうとばかりでもなく。

――田舎に生きる、これは小学生のころからの夢でした。

東京に生まれ、中央区の小学校に通っていたワタクシは、テレビで見る田舎の学校に強いあこがれを抱いていました。

校庭からはビルはおろか高い建物は何も見えない。

遠くには美しい山並みを望み、校庭から見上げるあくまで広い空には騒音の一つもない。

高校生になりようやく田舎のキャンパスに通うこととなり、とりあえず山の見える学校に通う、という夢は果たされましたが、それでも田舎に云々とは程遠い環境でした。

そして大学、大学院はまた都会で。

就職し、ようやく手にしたのがいまのド田舎暮らしでした。

 

・・・空の広さ、空の音を意識したことがありますか。

東京の道から見やる空は建物に囲まれていて、とても狭い。

そして夜でも空を見上げれば、当たり前のように轟々という騒音に包まれている。

それに比べ、何度か旅行に行った田舎の空の広さ、静けさたるやほとんど夢のようでした。

幼いころ、伊豆大島の夜空を見あげて「墨で塗ったみたいだ」とお袋に言ったこともありました。

どうか都会の方は田舎に行ったときに、田舎の方は都会に行ったときに、昼の空、夜の空を見上げ見てください。

 

で。

コンビニができたかー、と。

隣町のターミナル駅周辺はここ数年で急激に栄えてきており、この辺も来るのかなぁと思っていたところでした。

今はまだ、コンビニひとつの話ですが、周囲を囲む田畑も、水路も、広い静かな空もいずれ消えていくのでしょうか。

 

そのコンビニで早速買ってきたビールでぐでんぐでんになっていたらこんな文章が出てきましたあ☆

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至高について

新年あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願い致します。もう二月だけど。

ちなみに今年の目標は「2倍コミュる」です。

 

でまあ正月に実家へ行った際、おでんのレシピを教わったので覚書く。

 

【出来上がるもの】

こんにゃくと大根が容積の半分を占める至高のおでん。

市販の味に比べ甘じょっぱくコクがある。

 

【材料】

水:1.5 L

だし昆布:10 g程度(羅臼昆布がいいかもしれないがないので利尻昆布使用)

本だし:大さじ2

砂糖:大さじ2(上白糖はべたつくから嫌いなので中ザラ糖を使用)

塩:大さじ1.5

醤油:大さじ2

みりん:大さじ3

酒:少々

こんにゃく:3丁

大根:2/3本

その他練り物:適当にぶち込むが鍋に蓋をして加熱すると笑っちゃうくらい膨張するので注意

 

大根は切ったら水から5分茹で、水洗いしてから使用。

水洗いの理由は謎。

こんにゃくは切ったら熱水で5分茹でてから使用。

練り物は熱水でしゃぶしゃぶしてから使用。

食用に適さないだし昆布を使用する場合は、鍋底に小さな気泡が付き始めたら取り出す。

(放置すると昆布臭くなる)

大根に火が通るくらい煮たら、一度火を止めて冷まし煮含めさせる。

 

※2020.07.11 水の量を2L→1.5Lに改定、昆布の取り出しタイミングを改定

※2021.12.03 塩の量を大1→1.5に変更

 

自分で作ると好きなものを大量に入れられていいよね

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鑑賞について

 

増田こうすけの「ギャグマンガ日和」という漫画が好きなのですが、この中のお約束で「松尾芭蕉がスランプになってものすごい駄作を詠む」シーンがあります。

ほとんどは本当に無茶苦茶なのですが、ひとつ、これ実は名作だなというのを見つけました。

 

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「手をあげて 横断歩道を 渡る夏」

これが気に入りました。

俳句は読むのも好きなのですが、実は鑑賞も密かな趣味なので、ちょっと鑑賞してみます。

 

この俳句、とりあえず親が子を見ているという視点を仮定します。

自分の子供が手を上げて横断歩道を渡っている。

ここに着目したということは、手を上げて横断歩道を渡る子供の様子が詠み手にとって感動を与えたということ。

つまり、少し前までは、この子供は横断歩道を渡るときに手を上げたりはしていなかったということになります。

横断歩道を渡るときに手を上げましょう、というのは、小学校に入って間もない児童が教わることの一つです。

この子供は小学校の一年生なんでしょう。

そしてその夏、夏休み。

普段は仕事であまり子供と接することのできない親が、夏休みになって子供と一緒に遊びに出かけ。

横断歩道を渡るときに手を上げる子供を初めて目の当たりした瞬間が、この俳句の風景です。

詠み手である親の中には、子供の成長を垣間見た喜びと、それを夏まで気づかずにいた一抹の寂しさがないまぜになった、それでも嬉しい、そんな優しい心の動きが想像されます。

また成長を目の当たりにし、夏のまばゆい景色の中で、子供の姿はより一層かがやかしく見えたことでしょう。

 

とかね。
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悪夢について

某日曜日、出張で地方工場に出向き、自分が作った設備を改造することになりました。

・・・平日は24時間生産がおこなわれてますから、設備改造するなら休日しかないわけですが、まあそれはよろしい。

また改造自体はプログラムを修正して、動作確認するだけの軽微なもの。

理論的には平日の昼休み60分間でも可能ですが、計算したところ作業時間が58分とギリッギリだったため、休日にゆっくりやることにしたといった感じです。

が、前日の夜、悪夢にうなされる。

どうやっても設備がうまく動作せず、途方にくれる最低の夢を見ました。

 

で、当日。

工場で気づく。

・・・。

・・・前歯が欠けている・・・。

犬歯の先端が0.5 mm程度ですが、欠けている。

どうやら悪夢にうなされるうち、歯を食いしばってしまいそのとき欠けたようです。

この部分、もともと変に尖っていて、前々から危ない気はしていたのです。

欠けたのも0.5 mmなので別に放置してもいいのですが、欠けたことにより尖り方に拍車がかかっており、歯医者に行って研磨してもらったほうがよさそうな具合になっていました。

・・・まあ、まあ。

それはほっといて作業開始。

時間があるぶん入念に動作確認を行いながら作業したので予定より時間はかかりましたが、昼過ぎには作業終了。

と思いきや。

工場の方から、さらにこんな改造もしてほしいというリクエスト発生。

悩む。

作業自体はプログラムの改造で、その日のうちに終わるレベル。

しかし設備の動作根幹にかかる部分で、万が一バグが出た場合、週明けの月曜日に生産が止まる危険があります。

月~土の間24時間稼働しなければいけない忙しい設備なので、数時間でも止まってしまうと大変なことになります。

・・・最悪の最悪、ニュースになるレベルです。

かといってこの改造をしないと、品質に悪影響が出る可能性もある。

悩む。

設備の前で腕組みし、10分以上マジで悩む。

 

頭のどこかでひらめいた。

あ、これ正夢だ☆

 

どうやら私は未来を夢に見ることができる超能力者だったようです。

とか現実逃避してても仕方ないので、工場の方と相談。

必要最小限の改造にとどめ、さらに問題が起こったときに現場で対応できるよう、入念に対処法を説明して帰社しました。

歯のほうは後日、削ってもらってキレイキレイしました。

これ、労災にならんかしら・・・。

 

人類史上初、超能力で時空を超えた結果の労災
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 NHK(日本放置協会)は放置される側の団体です。