増田こうすけの「ギャグマンガ日和」という漫画が好きなのですが、この中のお約束で「松尾芭蕉がスランプになってものすごい駄作を詠む」シーンがあります。
ほとんどは本当に無茶苦茶なのですが、ひとつ、これ実は名作だなというのを見つけました。
「手をあげて 横断歩道を 渡る夏」
これが気に入りました。
俳句は読むのも好きなのですが、実は鑑賞も密かな趣味なので、ちょっと鑑賞してみます。
この俳句、とりあえず親が子を見ているという視点を仮定します。
自分の子供が手を上げて横断歩道を渡っている。
ここに着目したということは、手を上げて横断歩道を渡る子供の様子が詠み手にとって感動を与えたということ。
つまり、少し前までは、この子供は横断歩道を渡るときに手を上げたりはしていなかったということになります。
横断歩道を渡るときに手を上げましょう、というのは、小学校に入って間もない児童が教わることの一つです。
この子供は小学校の一年生なんでしょう。
そしてその夏、夏休み。
普段は仕事であまり子供と接することのできない親が、夏休みになって子供と一緒に遊びに出かけ。
横断歩道を渡るときに手を上げる子供を初めて目の当たりした瞬間が、この俳句の風景です。
詠み手である親の中には、子供の成長を垣間見た喜びと、それを夏まで気づかずにいた一抹の寂しさがないまぜになった、それでも嬉しい、そんな優しい心の動きが想像されます。
また成長を目の当たりにし、夏のまばゆい景色の中で、子供の姿はより一層かがやかしく見えたことでしょう。
とかね。
徒然狸 ―タヌキの日記―
筆者は盲導犬を尊敬し、個人的に応援しています。
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