徒然狸 -タヌキの日記-

――空。美しい空。悲しい空。何かを置き忘れてきてしまったような、空。

風と雲

……風が強い。
本土を掠めるほどにも接近せず、早いうちに温帯低気圧に変わってしまうと予報されていた台風は、それでも猛烈な風を関東地方に吹き付けてる。
朝方激しかった雨がすっかり上がってくれたのはよかったが、それでも強風だけはしつこく続いていた。
そういえば、一つ前の台風一号もそれなりの豪雨を見舞ってくれたように思う。
一桁の数字をつけられた台風が、関東にまで影響を及ぼすのは珍しいことだった。
今年は台風の当たり年なのだろうか。
絶え間なく吹き抜ける風に目を細めながらうんざりと見上げた空では、たくさんの雲が様々な形に千切れ飛び、舞っていた。
 
――2008年、初夏。

 
= = =
 
本日、細胞実験のデータが出揃いまして。
なんだか怪しい気がしたのですが、大将に見せたところ、いい結果だとの評価。
これで前任者の再現が完了しました。
4月頭に大将に言われた目安は五月末までに再現を確認するというもの。
本当は4月末までには出来そうな気がしていたのですが、なんだかんだでこの時期に。
大将の読みが鋭かったのか、私が油断したのか……たぶん、後者が勝っているような。
まだまだ弛んでいます。
エスの言葉に「だから言っておく。明日のことまで思い悩むな。明日のことは明日自らが思い悩む。思い悩むのはその日のことだけで十分だ」というのがありまして。
なるほどねぇ、と思っていましたが、ドクターには通用しないようです。
 
明日から、自分の研究が始まります。
いつか書いた数行小説「ヒヨコの空」のような気分です。
……あれ、まだ日記にしか載せてなかった。
しかもタイトルは「そら」だったか。





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