徒然狸 -タヌキの日記-

――空。美しい空。悲しい空。何かを置き忘れてきてしまったような、空。

助教と記憶

明日から今週いっぱい、研究室の中間発表会なので、新しい実験をしかけるわけにもいかず暇な一日になると思っていましたが。
怒涛の如く追い立てられる状況に相成りました。
とりあえず、朝一番から昼まではいつものイオン分析。
昼食をとり、1400時からのN中佐との個別ディスカッション前に簡単なサンプル洗浄をしていたら、大将に捕まる。
明日の1600時までに、申請を一つしてほしい、とのこと。
今年から始まるドクター支援制度で、たいした仕事もないのにドクターの身分を助教に引き上げ、給料を払ってくれる、という素晴らしい制度である。
要は、何もせずに金だけもらえる「名ばかり助教」である。
私はまだたいした業績もないので選考に残れるとも思えず、申請しないつもりでいたのですが。
どうもほとんどの連中が同じことを考えたようで見事な定員割れをしているらしく、とりあえず全員申請しろ、という御達しが出たらしいのである。
というわけで、半日がかりで急遽の書類作成。
いやはや……。
目が疲れました。
ちなみに給与は、月給制。
いくらとはいいませんが、学生としてはなかなか出ます。
フルメタルカスタムのブローバック1911A1が五丁買えてお釣りが来るくらいです。
間違って受からないかなぁ……。
 
= = =
 
ところで、書類を作っていて悲しい気持ちになった事が。
学士・修士時代の業績をA4一枚にまとめたんですがね。
……結構忘れてるなー、と。
たった一年前まで三年間、あれだけ一生懸命やってたことなのに、なんだか高校生活を思い出すような、そんな深度がありました。
「α,α'-ジブロモシクロアルカノン」なんて毎日見ていたような単語が、文字化けしたような不自然な感じに見えたりとか。
あ、こんな物質を扱ってたっけ、と記録を見てようやく思い出したり。
もうひとつグサッと来たのが、パソコンもまた、これらの単語を忘れていたこと。
物質名を変換して無茶苦茶な文字列になったとき、この一年の研究生活の重さと、簡単に忘れられていく過去を思いました。
 
窓辺に集めた 銀色のコイン
会うたび重ねて 約束したのさ
忘れかけてゆく 優しい温もり
とても悲しいね 光を失くして
約束も鍵も手紙も
思い出の空に放そう
さよなら
 
= = =
 
なんで最近歌を引用するんだろう。
なにかの気病か……?
 
= = =
 
風が変わったので一雨来るかと思いましたが、持ったみたいで。
梅雨はまだ先ですかね……。
 
= = =
 
明日から三日間、中間発表。
これまでは二日で収まっていましたが、学生が増えたおかげで三日に延焼。
いやー、かなわんわ。
実験できません。
ちなみに私はドクターなので、質疑応答無しで研究紹介すればよく、まあ楽は楽。
 
= = =
 
新製品を考えた。
忙しいと、よく手の甲にメモったりするじゃないですか。
そんなあなたのための。
手甲装着型ミニホワイトボード!
要は、ちっちゃいホワイトボードを手の甲に装着出来るのです。
手に直接書くと書き換えが効きませんが、ホワイトボードなら書き換え自在。
手袋を書き込み・書き換えできる素材で作る、という姉妹商品案も。
いかがでしょう。
 
= = =
 
いかん。
目の焦点がぶれ出した。
キューピーコーワiを買わねば……。





 NHK(日本放置協会)は放置される側の団体です。