スパークリングワインを冷凍庫で冷やす方法について検索してみるも、ほとんどのソースで「おすすめしません」「やめましょう」という体たらく。
ここはエキスパート酒飲みのわたしがレクチャーする必要があるようです。
とはいえ、一意の解があるわけではありません。
冷凍庫の温度は細胞生物学の分野ではマイナス20度と定義されています、慣例的に。
だから試薬か何かを買って、保存条件が「マイナス20度」であればそれは「冷凍庫に入れろ」という意味になります。
ちなみに「4度」と書いてあれば冷蔵庫、「マイナス80度」であればディープフリーザ(縦型の超低温冷凍庫。最近ではコロナワクチンの保管用途で注目を浴びている)、「マイナス190度」であれば液体窒素中に保管する、というのが細胞生物学の一般常識です。
ところが、冷凍庫(というか冷蔵庫)には温度調節機能が付いており、また製品の性能差もかなりありますから、実際の温度が冷凍庫=マイナス20度ではありません。
このため、自分の冷凍庫がどれくらいの能力かをあらかじめ実験的に知っておく必要があります。
とはいえ、いきなりスパークリングワインで実験しては絶対にダメです。
普通の液体封入物を冷凍庫で凍らせてしまった場合、サイアクふたが飛んで中身が飛び出すくらいで済みます。
しかしスパークリングワインのふたは金属線で固定されてますから、飛ぶことができない。
こうなると瓶そのものが破裂する恐れがあります。
言っときますが冷凍庫の中で瓶が破裂したら、本当に死にたくなるくらいの絶望に包まれますからご用心。
いきなりスパークリングワインに手を出すのではなく、まずはビールや缶酎ハイなど、缶飲料で実験していく必要があります。
常温の缶飲料をどれくらいの時間、冷凍庫に入れるのが至適なのか実験的に確認するのです。
ちなみにうちの冷凍庫で缶ビールを冷やす場合、
・60分だとちょっとぬるい?キンッキンというわけではない
・70分だとわりとキンッキン
・80分だとキンッキン、または過冷却状態になっていてふたを開けた瞬間や口に入れた瞬間に凍り始めることがある
という実験結果が得られています。
つまり、350缶に入れたアルコール含有液体は、70分程度うちの冷凍庫に入れたくらいでは凍らないのです。
※ノンアルコール飲料はもっと早い時間で凍り始めるので参考になりません。
ちなみにスパークリングワインは、缶飲料の缶よりも熱伝導率の小さいガラスに封入されており、350缶の倍以上の容量があります。
しかも耐圧のため、ガラスはふつうのワインよりも分厚い。
この事実から、スパークリングワインはうちの冷凍庫で70分間以上冷却することでそれなりに冷えることが推定できます。
しかし、万一凍ってしまうと死にたくなる事態になるので、安全率を含ませます。
以上より、スパークリングワインはうちの冷凍庫に「70分以下」入れることで飲み頃の温度になると推定されます。
わたしはさらに安全率を見込んで(絶対に破裂させたくないので)、60分で飲んでみました。
最高でした。
アホでしょ?
研究者が酒浸りになるとこういう役に立つのか経たないのかわからんことをし始めますので、大変面白く見てやってください。
で、注意点。
缶ビールでの実験結果からわかる通り、冷却の状態は10分単位で極端に変化します。
スパークリングワインを冷凍庫に入れて、限界時間から10分くらい入れすぎると、破裂の恐れがあります。
なので、厳密な時間管理ができない場合は、絶対に冷凍庫にスパークリングワインを入れてはいけません。
タイマーを仕掛けるのは当たり前。
キッチンタイマーとスマホと目覚まし時計、3つくらい仕掛けておく覚悟でのみ実戦が許されます。
で、冷却中は外出厳禁。
居眠り厳禁。
できれば風呂にも入らずクソもひらず、アラームで即時即応できる態勢を保つ必要があります。
冗談ではありません。
上記方法で冷やしたスパークリングワインをラッパ飲みしているから出た大法螺ではありません。
とにかく、時間をきちんと管理できない状況では、この奥義は使用してはなりませぬ。
徒然狸 ―タヌキの日記―
筆者は盲導犬を尊敬し、個人的に応援しています。
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