徒然狸 -タヌキの日記-

――空。美しい空。悲しい空。何かを置き忘れてきてしまったような、空。

極限について

実験のため、冷凍庫やサウナによく入ります。
百人乗っても大丈夫なくらいの大きさの温冷蔵庫があり、時々ですが、内部を90度にしたり-40度にしたりして、中で我が社の製品性能試験をするのです。
今日は-40度の日でした。
なにしろ-40度です。
しかも内部では温度を均一にするため、風が常に吹いています。
エヴェレストの8500 mくらいと似たような気温です。
世界記録-56.7度と比べると見劣りしますが、エヴェレスト登山で指や四肢がなくなることは珍しくありません。
・・・この試験、うわーさむいんだろうなーという問題ではなく、油断すると普通に凍傷や死の危険があるのです。
(笑)
で、まあ-40で試験してたのですが。
サンプルの固定だのなんだの、細かい作業に意外に手間取る。
もちろん、防寒着などではなく、耐寒服を着ています。
ヘルメットはしていませんが、ちょっとした宇宙服レベルです。
なので、体はほとんど寒くない。
ただ作業性が悪い。
ものすげえ動きづらく、手はグローブのごとき耐寒手袋をはめているため、細かい作業が困難です。
しかも今日は、事前準備が甘かったせいで、ピンセットレベルの作業をする羽目に。
耐寒手袋をつけたままでは全くもって不可能なので、軽作業用グローブで作業する。
 
わー寒い

やべえ寒いていうか痛い

痛い痛い

あ、なんか平気になってきた

ビリビリしびれてきた
 
折しも、あともうちょっとでうまくいくところ。
右手中指先端がびりびりしているが我慢して実験を続け、終わってから外に出る。
 
右手中指先端が固い。
 
あ、いかん、凍っておるわ。
指を握りこんで、体温にて慌てて融かす。
あやうく凍傷です。
 
皆さんもこういう、90度や-40度の中で実験することも多いでしょうから、アドバイスを書き残しておきます。
極限環境で実験を行う場合は、自分の感覚に頼ってはいけません。
そりゃまあ、自分の感覚が狂うのが極限環境でございますので。
休憩時間を決めておくことです。
10分作業したら休憩する、とかを決めて、守らないと、本当に死んじゃうので注意。
 
本当に死んじゃう
徒然狸 ―タヌキの日記―
 

筆者は盲導犬を尊敬し、個人的に応援しています。
https://www.moudouken.net/





 NHK(日本放置協会)は放置される側の団体です。