徒然狸 -タヌキの日記-

――空。美しい空。悲しい空。何かを置き忘れてきてしまったような、空。

競馬について

12月某日。
ぼくは中山競馬場にいた――
 

 
ほとんど一年前、会社の飲み会で上役が競馬の話をしており。
へー競馬って一回行ってみたいんですよねー的なことを言ったところ、じゃあ今度行こうよということになりました。
それからその上役はとあるプロジェクトに巻き込まれ。
地方拠点に入り浸り、やっと最近になって余裕ができたので、先日競馬に連れて行ってもらいました。
とはいっても競馬なんて浅田次郎のエッセイでしか知らんので、資金準備と防寒対策だけして落ち合う。
幸い当日は快晴。
東向きのスタンド席に陣取り、上役が用意してくれていた競馬新聞を受け取り、その読み方を習う。
・・・競馬をする方は100%競馬新聞を持っていますが、その意味が解りました。
競馬新聞にはその日のレースに出る馬・騎手が一覧になっていて、その馬がどういう脚質で、前回のレースはどういう流れでどういう成績を残していて、専門家?からみた今回の勝ち目はどうで、厩舎からみた馬の状態はどうで・・・ということがびっしり書かれています。
つまり、競馬新聞が手元にないと、そもそも今日はどういうレースがあるのかすら分からず、じゃあどの馬が勝ちそうだとかどの馬はダメそうだとかいう予想が全く分からないわけです。
逆に言えば、たとえ馬券を買わずとも、競馬新聞を見ながら勝ち馬を予想し、レースを見るだけでもそれなりに楽しめます。
 
ただまあ、せっかくなので馬券を買うことにする。
競馬新聞の情報を頼りに予想を立て、見よう見まねでマークシートを書き、機械にぶち込むと馬券が出てくる。
おお。
簡単だ。
・・・簡単なギャンブルほど恐ろしいものはありません。
ちなみに馬券は100円から賭けられるのですが、まあちまちまやっても多分つまらんので、その日は10000円を消費する覚悟でいました。
3レース目から見始めたので、およそ1レースあたり1000円を賭ける感じです。
 
馬券の買い方はいろいろあります。
1着になる馬をピンポイントで狙う単勝とか、3着までに入りそうな馬を予想する複勝とか。
ぼくは最初に教えてもらった「ワイド」という買い方を多用しました。
これは出走馬の中から3着までに入りそうな馬を2頭、予想するやつです。
選んだ二頭が、着順は関係なく、とにかく1着から3着までに入れば的中して配当が受けられます。
 
結論から言いましょう。
 
まーーーーー、当たらない。
ビギナーズラック何それおいしいの?てなもんです。
競馬新聞とオッズを頼りに、断トツ一番人気の馬を軸に、3通りのワイドを買ってかすりもしないとはどういうことなんでしょう。
あまりにかすりもしないので、中盤のレースで一番人気から三番人気までそれぞれを単勝で買ってやり、とにかくあたりはしましたが、その回の勝ちはわずかに90円。
1000円かけて90円の儲け。
そりゃ、この回に限っての営業利益で見れば9%という超優良企業並みですが、それまでの損失を考えると直滑降で倒産です。
なんだこの超難関人生は。
はっきり言います。
競馬で勝ち越してるすげえ人がいたら、自営業でも始めたほうが10万倍くらい儲かるでしょう。
 
とはいえ、楽しいのは楽しい。
なんせ馬はきれいだし、個性があって、入場では客席のほうに寄ってくるサービス精神旺盛なやつとか、モニターを見ながら小走りを続けるわけわからんやつとか、素直なやつとかイレてるやつとか、いろいろ。
レースでは馬がまるで、自分のために頑張ってくれているような健気さを覚えて可愛い。
天気がいいので陽射しは心地よいし、たとえ少額でもお金をかけてるので最後の直線では心拍数が相当あがります。
ほんとうに、天気がいいけどなんもすることがない日は、近くの競馬場で100円ずつかけたりするのもいいかもしれません。
 
徒然狸 ―タヌキの日記―
 

筆者は盲導犬を尊敬し、個人的に応援しています。
https://www.moudouken.net/





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