徒然狸 -タヌキの日記-

――空。美しい空。悲しい空。何かを置き忘れてきてしまったような、空。

ぼくのなつやすみ

「休み前までに――」
「休み明けには――」
同僚の電話の声にそんな単語が混じり始め、やがて自分にもその休みとやらが訪れることに気づき。
今更ながら社のカレンダーを改める。
中2週間と少し。
正確には14営業日を挟んだ向こう側は、夏休みであった。
正直、あまり実感が湧かなかった。
部署の中では、科学分析担当という風のよくわからない役回りになりつつあり、出張は多いがさして忙しいわけでもない。
そのあいまいな生活感が、休暇というものの輝きをくすませているに思えた。
酷暑が一転して冷夏にすり替わるという肩透かしがあったことも一因だろう。
ようやく聞こえ始めた蝉の声も、勢いづくことを忘れてしまっているようだった。
それでもせっかく休暇の日程を確認したのでカレンダーに赤丸でもしようと思ったが、赤ペンが見つからず緑丸をつけたせいで、いっそう訳のわからない感覚に見舞われることとなった。
 
徒然狸 ―タヌキの日記―
 
 

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