徒然狸 -タヌキの日記-

――空。美しい空。悲しい空。何かを置き忘れてきてしまったような、空。

撮影と染色

うちの大学の研究室がいくつか、研究紹介の映像をようつべに掲載していまして。
うちも今日撮影をしました。
で、撮影をすること自体は前から聞いていたのですが今朝になって、細胞を蛍光顕微鏡で観察しているところを撮影したいといわれる。
撮影は1300から。
……間に合う訳無いだろうと。
そもそも顕微鏡で観察するためにはいつもの培養器ではなく、シャーレなど解放系の容器かカバーグラスかなにかに細胞を接着させておかなければならず、それだけで半日かかります。
しかもそのためには細胞自体を増やしておかなければいけないので、一週間前くらいには予告しておいてくれないと厳しいのです。
でまあ、どうやっても間に合わんのですが、そういえばK小隊のN中佐が最近、小さなシャーレに細胞を蒔きまくって実験しているのを思い出す。
事に寄ったら一個くらい余分なシャーレがあるのでは、と思って電話したら、本当に分けてくれました。
感謝。
しかし、ここからが大変です。
細胞の蛍光染色には時間がかかります。
まず培地を捨てて生理食塩水で細胞を洗います。
次に、染色中に細胞の様子が代わらないよう、固定という作業をします。
これが20分待ち。
終わったら生食で洗浄、15分待ち。
つぎに、染色薬が細胞内部まで浸透するよう、細胞膜に多少の穴を開けます。
15分待ち。
そして洗浄、15分待ち。
色素が狙った場所以外にくっつかないようにするブロッキングという作業、30分待ち。
洗浄15分待ち。
色素1で細胞骨格を染色、60分待ち。
洗浄15分待ち。
色素2で細胞の「足」を染色、60分待ち。
染色15分待ち。
色素3で細胞の核を染色、15分待ち。
染色15分待ち。
最後に色素の褪色防止剤を加え、ようやく観察です。
待ち時間だけで290分。
猶予は120分。
全然足りません。
ただまあ、撮影的にはなんかそれっぽいのが映ればいいとのことなので、要所々々端折って何とか終わらせました。
ちなみに核染色は今回初めてのトライでしたが、きっちりうまくいきました。
やれやれ。
野戦病院のような実験でした。
というわけでまあ、近々ようつべに晒されます。
 
徒然狸 ―タヌキの日記―  





 NHK(日本放置協会)は放置される側の団体です。