徒然狸 -タヌキの日記-

――空。美しい空。悲しい空。何かを置き忘れてきてしまったような、空。

化学の学校

岩波文庫「化学の学校」が大変面白い。
読めない漢字もあるが面白い。
のでパロディーを書いてみる。
 
化學の逆境 上 〜地獄の一丁目


1 物質

先生「今日は全く新しいことを始めます。君は化學を學ぶのです」
タヌキ「化學とはいったいなんですか?」
先生「化學とはあらゆる物質、すなわち人工及び自然の物質の學問です」
タヌ「それではいったい物質とはなんですか?」
先生「ガタガタと五月蠅いですね、あなたは私の云うとおりにしていればいいのです」
タヌ「・・・はい」
先生「よい返事です。では君が実際物質というものを知らないのか、それともそれを言い表し得ないのか、一つ試してみよう。これはなんですか?」
タヌ「砂糖だと思います」
先生「なぜそう思う?」
タヌ「そうですね、砂糖壷の中の砂糖にそっくりだからです。ちょっと嘗めさせてください」
先生「・・・」
タヌ「・・・うわっ! これはなんですか」
先生「(しれっと)どうかしましたか?」
タヌ「確かに甘いですか、口の中がじゃりじゃりします」
先生「そうでしょうね。どうせ嘗めるだろうと思って、砂を混ぜておいたのです」
タヌ「なんてことをするんですか」
先生「あなたの過失でしょう。私を責めないでいただきたく」


タヌ「ふう、ひどい目に遭いました」
先生「大丈夫ですか?」
タヌ「よく平気な顔をしていえますね」
先生「さて、では、これは何だと思いますか?」
タヌ「・・・今度こそ、砂糖だと思います」
先生「なぜそう思う?」
タヌ「見た目が砂糖にそっくりだからです」
先生「さっきはそれで失敗しましたね」
タヌ「五月蠅いですね。それに、砂糖は指につけるとベトベトします。これも実際ベトベトします」
先生「・・・」
タヌ「ちょっと嘗め・・」
先生「嘗める前に言っておきますが、これを嘗めると、たぶんひどい目に遭いますよ」
タヌ「もうすでに遭っていますが」
先生「さっきのは序の口です」
タヌ「・・・これはなんですか?」
先生「水酸化ナトリウムを粉にしたものです。ベトベトするのは潮解しているからと、あなたの指が溶けているからです」
タヌ「私を殺すつもりですか」
先生「そんな事するもんですか。後が面倒ですし」
タヌ「・・・」
先生「それに、大丈夫です。それくらいで死ぬように育てた覚えはありません」
タヌ「私もあなたに育てられた覚えはありません。・・・それで結局物質とは何なのですか?」
先生「辞書をひいてください」
 





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