徒然狸 -タヌキの日記-

――空。美しい空。悲しい空。何かを置き忘れてきてしまったような、空。

ギギギ、という嫌な音を立てて、歯車は長い年月を取り戻すように、再び動き始めた。

相変わらず、頭が完全にニュートラルで右腕だけが疲れる日々が続いています。
いいかげん、右腕の形が変わってきました。
肩の筋肉が割れてきています。
いやはや。
でまあ、頭のリソースが100%余っているため、ぼーーーーっと、走馬灯のような思考が常に渦巻いていまして。
ある時ふと、8年以上にわたって停止していた脳内のある領域が、まさに走馬灯のように動き始めました。
・・・C.N.:SPACE2
ネタが古すぎて、もうキャシアスくらいしかわからんでしょうな。

「……それ、アタシじゃ駄目なんですか?」
「……え?」
遥の問いかけに、伊吹は思わず聞き返した。
弥生が身じろぐ小さな気配を感じたが、言葉はない。
「まえにアニキが言ってたんです」一瞬の静寂を遮るように、遥が続ける。「『適格者』になれるかどうかって、血縁で決まるんですよね。だから前回は、前任者の血縁に当たるアニキが選ばれた……。でもそれって、アニキの妹のアタシも、『適格者』になれるってことですよね……?」
「確かに、理論上はそうなるんだけど……」
瞬時に応じた伊吹が、しかし再び一瞬の静寂を呼び戻す。
遥が『適格者』たる素質を持つことは既に認識していた。
しかしそれは前回、6年前に健治を召喚した際、彼の家族構成の資料を見て一瞬脳裏をかすめただけのことだった。
実際に遥を『適格者』として起用する算段をした訳ではない。
――遥を『適格者』に?
――しかし……
しかし、しかし、しかし。
伊吹の思考には瞬時に10以上もの「しかし」が浮上した。
性差は問題にならないか?
――HSI(ホストステーション・インターフェイス)運用において、性差は問題にならないとする論文は読んだことがある。
性差による危険率の見積もりは?
――許容範囲内だった。
算出理論は妥当だったか?
理想条件下での見積もりのみではなかったか?
実用を想定した補正項は含まれていたか?
実施例はあったか?
浮沈する疑問を順に片付けていく。
大丈夫、どれも許容範囲に収まっている。
しかし。
やがて残った最後の疑問は、伊吹自身想定していないものだった。
……氷室健治の足跡データから、氷室遥の情報が消失していた、という記憶があるのはなぜか?
6年前に閲覧した、氷室健治の生涯に渡る資料がぼんやり思い出される。
そのデータには、遥の動向も断片的にではあるが併記されていたはずだ。
しかし、彼がSPACEを訪れた1999年頃を境に、遥に関する記録が途絶えていた記憶があるのだ。
……無論それは伊吹の思い違いである可能性もある。
しかし、そうではなかった場合、1999年における遥の足跡はSPACE訪問をきっかけに途絶えた可能性が否定できなくなる。
そしてその場合、今回の判断は極めて重要になる。
もう一度彼の資料を確認する時間はない。
個人の足跡に関する資料は高レベルの秘匿情報に属する。
混乱の最中だった六年前とは違い、その閲覧には少なくとも数日単位の手続きを要するはずだった。
そこまで考えたとき、伊吹は思考を中断した。
軍人として、科学者として、とるべき道は既に定まっていることに気づいたのだ。

さて、かければ書いていこうかとは思うのですが、まあ完全に走馬灯だよりなのでなんとも。。。
 
止まれ、止まれ時止まれ 君がまた泣いてしまわぬように(九字汰『走馬灯に見た夢』)
徒然狸 ―タヌキの日記―
 
 

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