アクセプトと立体君

本日、２報目の公刊論文が受理されました。
雑誌は前回と同じですが、インパクトファクターはまた上がって3.97です。
まあ、そろそろ上げ止まりなので4程度で止まるでしょう。
独断と偏見に満ちた表現をするなら、世界最高レベルのケンブリッジなどはおろか、東大にももちろん届かないが、まあ早慶くらいの威張り方はできるか……どうか、というレベルですかね。
いやはや、よかったですが、長かったです。
メジャーリバイスくらって修正に一月かかって、再査読でさらに一月かかりました。
博士の学位審査には決められたスケジュールがあるので、割とぎりぎり風味でした。
もしここでリジェクトされないまでも、再リバイスを食らっていたら、今書いている３報目を大急ぎで内輪の無名雑誌に投稿しなくてはならなくなるところでした。
３報目はかなりおもしろい作品に仕上がりつつあるので、これで落ち着いて仕上げていけます。
Webの編集システムでアクセプトに気づいたときは、興奮しすぎて気持ち悪くなりました。
これで、学位取得に必要な業績はそろいました。
あとは博士論文を仕上げなければなりません。
とりあえず、先日の三連休で穴だらけながら本文は書き上げました（教授に凄いと言わせました、えっへん）。
文字だけで70ページくらいです。
そこに昨日と一昨日で図表を入れてジャスト100ページ。
明日の半日までで参考文献も差し込み終わる予定なので、明後日いっぱいまでで推敲。
そのご教授校正に入ります。
今月27日に専攻教員会議があるためそれまでに「まあある程度は」仕上げなければなりませんが、なんとかなりそうな感じになってきました。
なんとかなったら、副査の先生方とのディスカッションののち、改訂、を何度か繰り返し、11月半ばまでに99％完成。
同月後半に公聴会を開き、口頭試問。
それを踏まえて論文を完成させ、ハードカバーで製本、大学に提出。
その後教員のみで最終審査が行われ、12月24日、学位が内定します。
腹算用が高度に折り重なっているようにも見えますが、今月27日を無事越えられれば、あとはエスカレーターです。
普通のエスカレーターと違うのは、途中で様々な障害が出現することですが……まあ、死なずにいれば勝手にゴールにたどり着けるということです。
逃げ場が無いとも言います。
噂に聞く正念場というやつなんでしょう。
頑張るしかありません。
　
タヌキが腹算用
徒然狸 ―タヌキの日記―
　
　
いまさらブルーバックスの「細胞を読む」を読んでいます。
何でもっと早く見つけなかったのか、というくらいいい本です。
本文の半分は写真が図表で、細胞の高精細写真と知識、高度に専門的なイメージング法が満載です。
読み終わったら後輩にあげようっと。
で、一つおもしろい技が乗っていまして。
立体視ってありますよね。
写真が二枚あって、寄り目で見ると浮き出る奴。
あれ、SEM（走査型電子顕微鏡）でも撮れるんです。
しかも簡単に。
まず、試料を真上から普通に撮影します。
次に、試料を5°傾けて撮影します。
二枚の写真を並べると、普通に立体視できます。
マジか！！
てなもんで、やってみました。
下は、食塩の結晶を、5°とマイナス5°に傾けて撮影した写真です（この方がよく見えた）。
上が平行法用、下が交差法用です。


見えるかな。
見えました？
すごいでしょう。
見えない人のために、こんなものも作ってみました。

え？
もちろん現実逃避ですよ。ええ。
ちなみにこのSEM手法は教授も知りませんでした。
これ、発表でも使えるんじゃないですかね。
あらかじめ赤青めがねを配っておいて、スクリーンに投影……。
……そういえば来月公聴会が……。
ただ、私の研究だと立体視でなければ理解しにくい写真ってあんまり無いんですよね。
残念ながら。
細胞ちゃんが立体になれば可愛さは確実に上がるでしょうけど、それだけの理由でやったら間違いなく教授会に掛けられますし。
もっとずっと複雑なものをSEMで撮ってる学生がいるので、やらせようかしら(笑)
でも、これが一般化したら面白いですよ。
学会の受付で、パンフと一緒に赤青メガネ渡されんの。
で、要所要所着用しないと発表が理解できなくなるので、紙とセロファンでできたメガネをかける。
全国あるいは全世界の名だたる権威たちが、おもちゃのめがねをかけて発表者を注目。
すさまじい光景です。
まあ、三次元的な理解を得たければ横着せずに図を書くか動画を作れって話ですが。
　
徒然狸 ―タヌキの日記―
　
　
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