徒然狸 -タヌキの日記-

――空。美しい空。悲しい空。何かを置き忘れてきてしまったような、空。

野菜ジュースと実験

以前からやってみたかったことがありまして。
「一日分の野菜」とかの野菜ジュースって、濁っていて、かなり粒子感がありますよね。
ということは、遠心分離すれば野菜沈澱と透明な野菜汁に別れるのでは……?
立場的に、普通に実験室でやるわけにもいかずこれまで出来ませんでしたが、ふと気付く。
そういえば私は私物の遠心分離機を持っています。写真。
掌サイズのマイクロ遠心機ですが、2000xG(重力の2000倍の力)で遠心できます。
しかも、ひと気の無い測定機器室に置いてあります。
今日は珍しく、あまりやることがありません。
……ニヤリ。
早速、野菜ジュースを持って測定室へ。
T少佐がいたが、「私もやってみたかった」と理解を得られた。
まず、マイクロピペットで野菜ジュースを1500μL、エッペンチューブに取り分ける。


そして遠心機にセット。
ぶんまわす。
とりあえず30秒でやめて、様子を見る。
……あー。
変化が見られない。
思ったより粒子が細かいようだ。
仕方ないので、さらに5分ほど回す。

確かに微かだが沈澱は見られ、液の色も若干薄くなった気はする。
しかし、つまらない。
実験室のほうには10000xGで遠心出来る装置があるのだが、設置してあるのは助教席の前。
いやまあ、助教も面白がってくれると思うが、私もキャラ作りは慎重にいきたいところなので止めておく。
別の策を打つことに。
相手が粒子なら、ろ過してしまえばいいわけで。
ただ、普通の濾紙は目が粗いので、微粒子を除くのは困難である。
しかし、世の中には滅菌フィルタというものがある。
つまりは菌が通過できないほど目の細かい(0.2ミクロン)フィルタなので、例えばそのフィルタで水をろ過すれば、手軽に滅菌水が作れるわけです。
こいつに通せば、野菜ジュースも透明になるはずだ。
で。
まず、先ほど遠心した野菜ジュースの上澄みを注射器に採る。

そして、針を外し、代わりに滅菌フィルタユニットを装着。

この状態で中のジュースを押し出せば、フィルタでろ過される。
そして。

やった!
野菜ジュースの粒子を除去し、透明にすることに成功。
量が少ないのはフィルタが詰まりやすいから。
もっと大量に透明ジュースを得るためには何度もフィルタを交換しなければならないが、さすがに勿体ないので今回は一個だけでやめた。
で、まあここまでやっておいて何ですが、意味はありません。
意味がないから高級なのです(犀川先生談)。
久しぶりに高級な時間をすごしました。
リッチ!
ちなみに、フィルタユニットを使わない正攻法としては、野菜ジュースを加熱するという手が考えられます。
微粒子は加熱されると凝集する性質があり、その状態にすれば遠心やろ過がしやすいのです。
 
無駄な努力は惜しまない
徒然狸 ―タヌキの日記―
 
 





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