徒然狸 -タヌキの日記-

――空。美しい空。悲しい空。何かを置き忘れてきてしまったような、空。

アメリカンとニュース

「やあボビー。君に少し悪いニュースと、すごく悪いニュースがある。どちらから聞きたい?」
「HAHAHA、そいつは豪気だな。友人の結婚式とカミさんの誕生日が一度に来たみたいじゃないか。……OK、少し悪い方から聞かせてくれ」
「君が注文した試薬が届いたよ」
「なんだって? おいおいジャック、それのどこが悪いニュースなんだ?」
「これがその試薬さ」
「なんだい、四万円の試薬にしちゃずいぶん小さい瓶じゃないか。ドラえもんのスモールライトでも浴びせたのか? 冗談じゃないぜ」
「おいおい、ふざけるなよ。いいから受け取れ」
「サンキュー。……小指の先って言っても、これじゃ日本人の小指だな」
「中をよく見てみるんだ」
「なんだこりゃ。空っぽじゃないか!」
「いや、よーく見てみろ」
「んん……? おい、まさか……」
「ああ。その小瓶の底にこびりついてる、干からびた赤ワインのカスの洗い残しみたいなやつが、四万円の試薬さ」
「うそだろ! いくらなんでもこれはないぜ! ドイツから運ばれてくる途中で干からびたんじゃないのか!?」
「いや、本当にそれが四万円なんだよ」
「マジかよ! このボッタクリぶりはフラーレンの比じゃないぜ!」
「まあ、せいぜい気をつけて実験するんだな……。ところで、これはまだ一つ目のニュースだ」
「『すごく悪いニュース』ならもう聞き飽きたぜ」
「まあいずれ分かることだから、言っちまうぞ」
「まてまて、まだ心の準備が――」
「説明書が英語だ」
ジーザス!!!!」
 
以上、今日のわたくし。
ちなみにモノはアポトーシス検出薬です。
普通の試薬ならまだいいのですが、蛍光試薬は光に弱いのです。
つまり、手順に詰まってぼやぼやしていると、試薬が死んでしまうという……。
中間報告の資料が出来たと思ったら、今度は説明書の翻訳に追われる羽目になりました。
まあ英語圏以外の人間も読むことは向こうも分かっているらしく、かなり分かりやすく、というか馬鹿でも解るように書かれていたのでなんとかなりました。
特別な単語はカラーで印刷してあるし、重要なことは複数箇所に書かれてます。
メーカーも大変です。

 
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タヌキに聞いてみようのコーナー。
今までで一番うれしかったことはなんですか。
「面接官か貴様」
それでは、また明日!





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