徒然狸 -タヌキの日記-

――空。美しい空。悲しい空。何かを置き忘れてきてしまったような、空。

これは久々に感動

音響カプラ、というものをご存知だろうか。
これはパソコンにおいてデータ通信を行うための機器で、今で言うモデムに相当する。
つまり、電話回線を通じてコンピューター同士で通信を行う時につかうものである。
では、モデムとなにが違うのか。
モデムの場合は、壁にあるモジュラージャックにプラグを挿入し、ケーブルのもう一方をモデムにつなぐ。
そして、モデムとパソコンをつなげば、データ通信が出来る。
模式図にすると
 
 「電話回線」―「モジュラージャック」―「モデム」―「パソコン」
 
となり、これはまあ、誰でも知っていることである。
しかし、これが可能なのは壁にモジュラージャックがある場合、すなわち、
電話がコンセントのごとく、壁から着脱可能になっていることが条件になる。
これは今でこそ一般的だが、昔はそうではなく、電話が壁と直接つながっているタイプも多かった。
これでは、電話回線にモデムを接続する事ができない。
そこで登場するのが、音響カプラなのである。 
 
音響カプラを使用したデータ通信を、先に模式図にしておこう。
 
 「電話回線」―「電話機」―「音響カプラ」―「パソコン」
 
こうなる。
(ただし現在、音響カプラーを使おうと思ったら
「電話回線」―「電話機」―「音響カプラ」―「モデム」―「パソコン」となる。そのほうが便利だから。)

そして、音響カプラとはそのまま、「電話の受話器」と同じ構造を持つ機械であり、
つまり、「スピーカーとマイクのユニット」なのである。
これが実物である↓
http://www.int-connect.com/telecoupler/
この受話器もどき、音響カプラを、電話の受話器にくっつけるのである。
そして、電話機と音響カプラはなんと、「音」を通じてデータ通信を行うのである。
 
たとえば、パソコンからネットに向けてデータを送信する場合を考える。
まずパソコンは、データを電気信号にして、音響カプラに送信する。
音響カプラはそれを音声信号に変換して、電話機に伝える。
電話機はそれを再び電気信号にして電話回線に流し、データはネットに流入する事になる。
 
また、ネットからデータを受信する場合は、その逆。
ネットから送られてきた電気信号は、電話回線を通じて電話機に入力される。
電話機はその信号を音声信号に変換して、音響カプラに伝える。
音響カプラは音をキャッチして、それを電気信号に変換してパソコンに送るのである。
 
つまり、耳を澄ませばネットから送られてくる情報が、こちらから送信する情報が、耳で聞こえるのである。
なんと魅力的で人間くさい通信方法であろう。
・・・ちなみに、もちろんこれは、データ通信効率が非常に低い。
誕生当時の通信速度は300bpsであったという。
これは、一秒間に37byte、ローマ字37文字、日本語だと18文字しか送信できないということである。
20KBの写メなんぞを送信しようと思ったら9分もかかる。
そして現在の技術を持ってしても、30kbps(一秒当たり3.8KB)が限界ということである。
(ただし、小生はこれをべらぼうに遅いとは思わない。
小生がインターネットを始めた97年当時の通信速度は14.4kbpsだった。
現在は光回線なので102400kbpsであるが、2007年1月まではISDNの64kbpsだった)
しかも音声通信なので、周囲の騒音にも影響を受けやすい。
しかし、この音響カプラを用いた通信には、非常に大きなメリットがある。
「電話が通じるところなら地球上どこでもデータ通信が出来る」ということだ。
かくして音響カプラは今現在も、立派に生き続けているのである。
 
ちなみにこの音響カプラーだが、マトリックスにも登場しているとの事。
マトリックスに潜入したり、マトリックスから脱出するシーンをよく観察してみましょう。
 
用語解説:
bps:bit per second
一秒間に何ビットのデータを送れるか、という単位である。
デジタルデータは0と1で出来ている、というのはよく知られているが、この0とか1ひとつあたりのデータ量が1ビットである。
だから、1001というデータがあれば、これは4ビットのデータである。
ちなみに1バイト(1B)は8ビット(8b)。
ローマ字一文字は1バイト、日本語一文字は2バイト(2バイト文字、と呼ばれる)。
キロバイト(1KB)は1024バイト(1024B)。
1メガバイト(1MB)は1024キロバイト
1ギガバイト(1GB)は1024メガバイト
なんで1KB = 1000Bでないかというと、2進法で10進法の1000を表現しようとしても綺麗な数字にはならず
(10進法の1000は2進法で1111101000)
2進法の綺麗な数字で10進法の1000に一番近いのは1024だから
(10進法の1024は2進法で10000000000)。
なんで2進法で綺麗な数字になった方が都合が良いかというと、
デジタルデータが0か1(2進法)で出来ているから。
 
参考文献:音響カプラの使い方
http://aitech.ac.jp/~furuhasi/mobile/tips/coupler/win2k.html
 
以上、酔っ払いのたわごとでした。
 
= = =
 
どん兵衛の妖術設定をあれこれ考えてリストアップしてます。
これ、公開したほうが良いんでしょうかね・・・。
中二病と思われるかなぁ。





 NHK(日本放置協会)は放置される側の団体です。