徒然狸 -タヌキの日記-

――空。美しい空。悲しい空。何かを置き忘れてきてしまったような、空。

新キャラと幹細胞

細胞の活性が上がらない件、原因がわかりました。
上がらないのではなく、二、三日で急速に増殖&活性向上しており、本来の観測日である四日目には弱ってしまっているようです。
まあいずれにせよ長期培養で細胞が性質変化してしまっているのには変わらないので、明日、ぶーちゃんの前駆細胞であるRMSCを発注することにしました。
何とか十月までにはぶーちゃんに分化させたいところです。
 
徒然狸 ―タヌキの日記―
 
 
ところで、RMSCにはまだあだ名がありませんでした。(大事ですよね!)
RMSC。
ラット骨髄幹細胞。
ラット・マロウ・ステム・セル。
うーちゃん。
うー吉。
どこかの司書官とは関係ありません。
 
やっぱりか
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ところで、購入する細胞は「骨髄幹細胞」なんですが、これは単一の種類の細胞ではなく、「骨髄から取れた細胞」をひとくくりにしたものです。
で、この中には「間葉系幹細胞」という細胞が含まれているといわれており、それがぶーちゃん、つまり「骨芽細胞」に分化するとされています。
ずいぶんあいまいですが、実はまだ、「間葉系幹細胞という特殊な細胞が存在する」ことは完全には証明できていないのです。
はっきり分かっていることは「骨髄から取れる細胞のなかには、骨芽細胞に分化できるやつが混ざっている」という事実だけなんですね。
で、そいつを仮に「間葉系幹細胞」と呼んでいるのですが、その正体は実は「骨髄間質細胞」という既知の細胞ではないのか、という説もあるようです。
 
そんなの簡単にわかりそうなもんですが、実は非常に難しいそうです。
例えば、ある細胞がAさんの細胞かBさんの細胞か、というのは簡単にわかります。
DNA鑑定ってやつですね。
じゃあ、ある細胞がAさんの皮膚の細胞なのか、血管の細胞なのか、という話になると、とたんに面倒になります。
血管の細胞だろうと皮膚の細胞だろうと、Aさんの細胞ですからDNA配列は全く同じです。
じゃあどうやって見分けるんだというと、その細胞の外観や生産している物質、あとは細胞表面にくっついているタンパク質、化学物質に対するリアクションなんかを、既知の血管細胞や皮膚細胞と比べてやります。
しかし、細胞の生産物や表面タンパクなんかは無数にあるので、それらを地道に比較検討していくことになります。
さらにやっかいなことに、細胞というのは元の体から剥がされてフラスコ内で培養されると性質が急速に変化してしまうため、同定は一層困難になります。
そんなわけで、現代の科学ではまだ、「この細胞は何の細胞だ!」と確実に見抜く手段がないのです。
 
信憑性は未知数の
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ちなみに「間葉系幹細胞」ですが、「幹細胞」というのは「色々な細胞に分化できる多機能細胞」という意味です。
ちなみにES細胞は幹細胞のなかでも超エリートで、「どんな種類の細胞にも分化可能な万能細胞」です。
で、「間葉系」とはなにかというと、「中胚葉由来の」という意味だそうです。
……なんだかよくわからんので、以前調べました。
動物の体は発生直後は非常に簡単な構造をしており、極端にいえばチクワのような形になっています。
つまり、チクワの外側を覆っている皮が皮膚で、筒の穴の部分が消化器官、で皮の下にあるチクワの身の部分が、筋肉や血管や骨にあたります。
で、外側の皮を「外胚葉」、筒の穴を「内胚葉」と呼び、外胚葉と内胚葉の間の身を「中胚葉」と呼びます。
つまり、皮膚と消化器官の間にあるものは全部中胚葉由来の組織、すなわち間葉系の組織ということになるそうです。
筋肉も血管も骨も脂肪も間葉系。
で、その中の骨から取れる幹細胞だから、間葉系幹細胞と呼ぶそうです。
ちなみに間葉系幹細胞は間葉系細胞にしか分化できないのか、というと、実はそうでもないらしく。
最近では、胚葉を越えて分化する細胞も発見されているそうです。
 
お疲れ様でした
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