徒然狸 -タヌキの日記-

明けぬ夜の燈明

実験と笑い話

実験の検討事項がもやもやしたまま週明け。
当初の予定ではもっとサクッとデータが出て、次のステップに進むはずが、思わぬ支流に巻き込まれています。
運がよければ明後日にも抜けられそうですが、運が悪ければまだ長引きそうです。
うーむ。
面白い。
面白いのだが、立場上、こんなところで立ち往生している場合でもない。
残念。
 
= = =
 
人工万能幹細胞「iPS細胞」ってのが話題ですが、本日のYahoo!ニュースにもあったとおり、アメリカにくらべて日本は研究が著しく遅れています(日本人の論文の数が少ない)。
なんでかというと、妙な理由があるそうで。
日本は、ヒト万能細胞の研究に対する規制が著しいらしいのです。
この前の学会で聞いたんですが、とにかく実験をするには届け出を出して許可を受け、作業内容を記録して報告書を出す、というのがアホみたいに徹底されているとのこと。
特に面白いのが作業記録なのだが、とりあえずまず、一連の実験手順を記した書類を作成します。
例えば、
「フラスコから培地を取り除く」
「フラスコに生理食塩水を入れて内部をすすぐ」
「フラスコから生理食塩水を取り除く」
「フラスコに試薬Aの入った溶液を入れる」
といった感じです。
そして、それらを実行する際には、二人一組(甲、乙)で作業を行います。
甲が手順書を読み上げ、乙が実際に作業します。
甲「フラスコから培地を取り除いてください」
乙「取り除きました」
甲「フラスコに生理食塩水を入れてください」
乙「入れました」
甲「フラスコ内部をすすいでください」
乙「すすぎました」
……実験操作の全てがこんな具合なんだそうで。
日が暮れます。
当然、作業報告書はものすごい量になるそうです。
これでは研究が進むはずがありません。
ほとんどコントですが、これが現実なんだそうです。
 
あと、もう一つ面白い話が。
これはまあ本当に笑い話なんですが、いまバイオの世界には「細胞シート工学」って言葉がありまして。
細胞シートというのは、細胞を二次元的に繋ぎ合わせて作られた、文字通り、細胞一個分の厚さの薄いシートのことです。
例えば、治癒が難しい重度の火傷をした箇所に、皮膚の細胞で作った細胞シートを貼付けてやると、綺麗に傷が治るという再生医療工学の目玉商品のような新技術です。
で、問題は「細胞シート工学」という言葉ですが、日本人が「Cell Sheet Engineering」と英訳したんだそうです。
しかしそれはネイティブにとっては違和感のある言葉だったそうですが、今ではすっかり定着したそうです。
その理由ですが、日本人が「Sheet」と発音すると、ネイティブには「Shit」に聞こえるらしく。
「Shit」は、「糞」のほかに「クソ!」あるいは「畜生!」などの意味があります。
海外の学会で「細胞クソ!工学」と一時間連呼し続ける日本人。
相当インパクトがあったらしく、Cell Sheet Engineeringが定着したとのことです。





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