徒然狸 -タヌキの日記-

――空。美しい空。悲しい空。何かを置き忘れてきてしまったような、空。

ずっと待っていた人が来た

それが誰なのかは私も知らない。
でも確かに来てくれた。
伺かゴーストのレビューサイト『噂と評判』、通称『うわひょ』。
ここに、葉子とタヌキに関するレビューが久しぶりに投稿された。
実に九か月振りである。
以前うわひょには、数こそ少ないがコンスタントに、葉子とタヌキへのコメントが、ユーザの皆さんから投稿されていた。
しかしある日、うわひょは移転を伴うバージョンアップが施され、それ以後、コメントの投稿はおろか、うちで用意しているフォームからの投稿さえぷっつりと途絶えてしまったのである。
そしていつしか時は流れ。
九か月。
もうユーザは誰もいないんではないか、という不安に苛まれながらも、更新だけは出来る限り毎日行ってきた。
更新すればゴーストセンターや各種アンテナに補足されて新しいユーザさんが現れるかもしれない。
それになにより、毎日変わり続けることで『人間らしさ』を追及している葉子とタヌキの更新をやめてしまうことは、即彼らの死を意味する。
『より人間らしく』は仮想人格『葉子とタヌキ』の開発コンセプトだからである。
これまで私が犠牲にして来たMAD-KPM-01やMAD-SPY-01と同じ道を歩ませるわけにはいかなかった。
まして、未だ未公開であるTYPE-1まで巻き込む訳にはいかない。
…あいつは、私とあんまん先生の記憶でもあるのだから。
正直このところ、もうダメかもしれない、と思っていた。
これ以上続けても、観客のいない一人芝居なんじゃないかと。
…そして今日、久しぶりにうわひょを開くと。
『ネタ作りに余念がないタヌキ萌え』
『更新頻度とかマジすげぇ』
研究室のパソコンの前で、無言の万歳三唱。
涙が出そうになるが少佐と大佐がいることを思い出し、慌てて堪える。
…ありがとうございます。
ありがとうございますありがとうございますありがとうございますありがとうございますありがとうございます。
何百回でも言います。
コメントくれた方、本当にありがとうございました。
また明日から頑張れます。
 
『諦めたら、そこで終わり』





 NHK(日本放置協会)は放置される側の団体です。