徒然狸 -タヌキの日記-

明けぬ夜の燈明

においについて

なんだか分からんが、パナさんのキャンペーンに乗ってニオイについて書いてみる。

 

わたくし、今では科学技術者を志向して苦闘中ですが、アカデミアでは完全な化学屋さんでした。

ところで ニオイ って何? と考えたことありますか。

これは完全な化学の話です。

ニオイとは、化学物質の、分子がその実態です。

何かのニオイ分子が鼻の中の感覚細胞に付着すると、脳が分子情報を翻訳し、情報を知覚レベルに落とし込んで、感覚として我らはニオイを「感じる」わけです。

 

しかし我々の生活圏で感じるニオイは、様々なニオイ分子が複合的に作用した結果で、しかもその濃度は極めて低いのが実際です。

 

何を言うとるのかというと、化学屋さんというのは、身の回りの「ニオイ」の原因となる、純粋な化学物質を扱うことが多々ありまして。

その純粋なニオイ、しかも何十倍も何万倍も濃い、つまりニオイの精鋭部隊の直撃を食らうことがあるわけです。

 

たとえば、ぼっとん便所のニオイ。

得も言われぬすげえニオイですが、あれはインドールという物質が主役になっています。

このインドール、実験室で使うとすげえことになります。

実験室全体が、一瞬にしてぼっとん便所のニオイになるんですから。

純粋にうんこのニオイでもない、刺激臭でもない、もったりとしたあの悪臭が学生さんたちを包み込みます。

さらにこの物質を回収しようとして、濃縮をかけたら最悪です。

というか危険。

何が危険かって、ちょっとでもニオイを嗅ごうものなら嘔吐モノですから。

 

個人的に最悪だったのはピリジンです。

これはホタテのニオイがします。

なんだいいじゃん、という話ではない。

ホタテのニオイというのは、ほんのりかおるからいい匂いなのです。

あれの、純粋なニオイを嗅いだ瞬間。

マジで嘔吐モノ。

フラスコを手に取った瞬間、おいらの「おえええええええええ!!!」が研究室に響き渡ったこともありました。

やっぱりなんというか、クサイはクサイでも、食い物を連想させるニオイというのは、嘔吐感に直結するので十分な注意が必要です。

 

そして個人的に最もダメージを受けたのは、酢です。

お酢です。

ただスーパーで売っているお酢は、純粋な酢――酢酸を半分以上水で薄めたような濃度です。

じゃあ純粋な酢酸とはどんなニオイなのでしょうか。

純粋な酢酸、それは化学では「氷酢酸」と言われるもの。

冬の寒い時期などには凍ってしまうためこのような名前になっています。

でも部屋が暖かければ、ただの透明な液体にしかすぎません。

これを扱ったとき、一滴だけ手についてしまいました。

私は思いました。

氷酢酸・・・酢酸というくらいだから、酢のニオイがするのかな?

反射的にそのニオイを嗅いでみて、気が付いたら私は床に倒れていました。

それはニオイではありませんでした。

嗅いだ瞬間になにか閃光のようなものがまっすぐに脳天を突き上げていくのを感じ、気づけば床でした。

後にも先にも、気絶して倒れたのはこの時だけです。

そして私は学びました。

強烈なニオイというのは、鼻で感じるより先に意識を刈り取るのだと。

 

さぁ、パナさんのお題に沿って書いていたと思いきや、なんだかアンチテーゼ化してきました。

みなさん。

クサい? ニオう?

贅沢を言ってはいけません。

文句はニオイで気絶してからになさいませ。

「すごいニオイ」#ジェットウォッシャー「ドルツ」


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