徒然狸 -タヌキの日記-

――空。美しい空。悲しい空。何かを置き忘れてきてしまったような、空。

不審者について

地方工場へ休日出張。
自分が作ったマシンの調整を行う。
それはよかったのだが。
昼過ぎ、もろもろの複雑な事情により、電車で30分ほどの別拠点に移動することになる。
・・・着の身着のままで。
上着にもズボンにも社名が入っているうえ、足元は鉄板入りの安全靴である。
既に怪しいが、まあ、これはいい。
問題は装備。
盲導犬チャリティー品の真っ赤なトートバッグは、プログラミング用の高性能・大型ノートPCの他に、書類やウエス、特殊粘着テープなど謎の物体でパンパン。
腰には小型だが道具バッグが装備されている。
中身は何種類ものピンセット、折り畳み型ドライバー、魚肉ソーセージ大の懐中電灯に加え、カッターナイフ2本(60°、30°カッター)、ハサミ一丁。
刃物類は、仕事上やむを得ない所持なので犯罪にはならないが。
全身万遍なく、完全なる不審者であった。
とりあえず工場からタクシーで最寄り駅に移動。
・・・電車の時間を20分ほど勘違いしていたため、田舎駅でぼんやり時間をつぶしていると。
アジア系の謎のおっちゃんに「help me」と声をかけられる。
一瞬身構えたが、暇だし、思いがけず武装してて身の安全も確保できているので話を聞いてみると。
どうやらこの町の知人を頼って旅行に来たらしく、その知人に電話したいらしい。
ただ持参しているスマホは日本では使えないらしく、公衆電話の使い方を教えてくれとのこと。
いいよ、それくらいお安い御用さ。
でも、田舎とは言え大型の駅で、人通りも少なくない。
なぜこの完全不審者状態のわたくしに声をかけたのか・・・。
謎だが、一年ほど前にも秋葉原にてアジア人から道案内を頼まれたのを思い出す。
もしかしたらおいらは、アジア人から見て道を聞きやすそうな顔なのかもしれない。
公衆電話の使い方をレクチャーし、ついでに待ち合わせ場所まで案内して別れる。
うむ、今日もいいことをした。
神様観てますか。
いいことしましたよ。
宝くじを当ててください。
 
徒然狸 ―タヌキの日記―
 

筆者は盲導犬尊敬し、個人的に応援しています。
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