徒然狸 -タヌキの日記-

――空。美しい空。悲しい空。何かを置き忘れてきてしまったような、空。

コンタミとその進行

実験系に予期しない不純物が混入することをコンタミコンタミネーション)といいますが、細胞培養においてはもっぱら、培養フラスコ内への微生物の混入をいいます。
微生物とは主に、我々の身の回りにいる菌類(カビや大腸菌などなど)を指します。
細胞培養に使用する培地は、タンパク質やビタミン、ミネラルなどを豊富に含む赤い液体で、これは微生物にとっても増殖するのに最適な環境です。
そのため、培地の中にひとたび微生物が混入すると、あっという間に増えて細胞がダメになってしまいます。
それでは、コンタミの様子を実際に見ていきましょう。

これは、しめじ菌を人為的に軽微にコンタミさせた培養系です。
この段階では培地や細胞に見た目の変化は少なく、コンタミに気付くことは稀です。
ご覧のとおり、培地も赤く澄んでいます。
逆にこの段階であれば、適当な抗生物質を培地に投入することでコンタミから脱することが出来ることがあります。

これはコンタミが少し進行した状態です。
この辺りになると、培地に見た目の変化が現れます。
培地は赤い水溶液だと前述しましたが、これは、pHが中性付近で赤くなるように「フェノールレッド」という指示薬がいれてあるからです。
培地のpHが酸性になると黄色に、アルカリ性になるとピンク色になります。
細胞を培養していると、細胞の老廃物によって培地は酸性に近づき、培地の色は黄色くなっていきます。
普通は培地が黄色くなる前に培地交換を行い、細胞に新鮮な培地を供給します。
しかし、コンタミが進行すると、培地が黄色くなるスピードが上がっていきます。
増殖した菌類が老廃物を大量に出すためです。
この段階になると、顕微鏡で微生物の存在を確認できることがあります。

さらにコンタミが進行した状態です。
培地がわずかに濁っているのが解るでしょうか。
この濁りは、増殖した微生物そのものです。
この段階では顕微鏡を使わずともコンタミを確認することが出来ます。
微生物の除去は既に不可能な段階であるため、直ちにフラスコごと滅菌、廃棄することが望まれます。
放置すれば(特にカビ系の場合は)他のフラスコにまでコンタミが拡大する恐れがあります。

これはもはや末期的なコンタミです。
培地が黄色く濁っているのがわかります。
この段階になると培地は悪臭を放ちます。
直ちにフラスコを破棄し、インキュベータ全体の清掃、殺菌が望まれます。
 
コンタミを防ぐためには、普段から油断なく無菌作業を行う必要があります。
また一度コンタミが発生してしまったら、一刻も早い対応が重要になります。
 
徒然狸 ―タヌキの日記―
 
 
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