徒然狸 -タヌキの日記-

――空。美しい空。悲しい空。何かを置き忘れてきてしまったような、空。

破骨と骨芽

アポトーシス失敗。
……正確には、改善ならず、でした。
ただまあ、アポトーシスを起こしているということ自体は証明されたのでまあ良し、ということになりました。
あくまでもサポーティングデータなので。
さて、来週はビンキュリン観察です。
初めての免疫染色。
見えるかなぁ……。
 
= = =
 
夕方ごろより来週の輪講パワポ作り。
白血球から破骨細胞までの分化誘導概要。

右下のクラゲみたいなのが破骨細胞のモデル図です。
おや?
これ、なにかに似てるぞ?

……以上、金曜21時の研究室のテンションでした。
 
= = =
 
オスブーさん(骨芽細胞)は接着性細胞なので、普段はフラスコの底にくっついて、さらにオスブーさん同士もくっつきあって暮らしています。
なので、実験に使ったり植え替えたりするときは、化学処理をして一度フラスコから剥がし、培地のなかに浮遊させてから扱います。
この時、オスブーさん同士の接着も剥がしてやる必要があります。
団子のように固まったままにしておくと実験で観察したときに一人々々の形がわからないし、増殖性も落ちてしまうからです。
……この、増殖性が落ちる件は、最近になってわかりました。
オスブー団子が大量にあるフラスコでは、植え替えからある程度増殖すると、ぴたりと増えなくなってしまいます。
理由はわかりませんが、団子状態のオスブーさんが「もうきついから増えなくていいよシグナル」を発しているものと思われます。
(細胞生物学ではこのような未知の知見がいくらでもあります)
つまり、団子になったオスブーさんを何とかばらばらに(シングルセルに)してやらないといけないのですが、これが難しい。
オスブーさんは、フラスコとの接着は割とすぐに剥がれるのですが、オスブーさん同士の接着は非常に強固で、当たり前の化学処理では剥がれないのです。
そういう場合、普通はピペッティングという操作をします。
これは、細胞の浮遊している培地を、注射器やスポイトのような器具で、吸っては出し、吸っては出しを繰り返して、要は物理的に引っぺがすのです。
もちろん細胞があまりダメージを受けないように加減します。
しかしオスブーさん、そんなことでは剥がれてくれません。
彼等の友情はとても固いのです。
そしてここ数週間で、ようやくオスブーさん団子をばらばらにする方法を編み出しました。
もう、容赦なくピペッティング。
ダメージなんか気にしていたら永久に団子のままなので、培地が泡立つくらい、最大限の強度でピペッティングします。
運が悪いと一割くらいは死んでしまいますが、これだけ無理矢理にでもシングルセルにしたほうが、植え替えた後の増殖は明らかに早いのです。
 
= = =
 
タヌキに聞いてみようのコーナー。
叫んで下さい。
「マクロファーージ!」
それでは、また明日!





 NHK(日本放置協会)は放置される側の団体です。