徒然狸 -タヌキの日記-

――空。美しい空。悲しい空。何かを置き忘れてきてしまったような、空。

危険な法案とXRD

☆この日記は女性の方にも安心して読んでいただけます
 
児童ポルノ規制法(通称)というものがあります。
これはまあ、18歳未満が被写体となっている写真等の流通を規制するための現行法ですが、いま、この児童ポルノ法が強化されようとしています。
具体的には、児童ポルノの単純所持の禁止、そして規制対象をこれまでの写真だけではなく、絵画やCGにまで広げよう、という動きです。
多くの人には関係のないこと、と思われるでしょうか。
ところが違うのです。
この規制強化は、すべての国民が無意識のうちに犯罪者にされてしまう、という可能性をふくんでいます。
 
まず怖いのが、「単純所持の禁止」。
これは児童ポルノの売買、譲渡だけでなく、単に手元にあるだけで処罰の対象となる、ということです。
麻薬やなにかと同じですね。
そして問題は、「児童ポルノ」の定義です。
現在の児童ポルノの定義は、被写体が「衣服の一部または全部を身につけていない18歳以下の児童」となっており、つまり、非常に曖昧なのです。
 
さて、ここで思い出してみてください。
あなたの家には「衣服の一部または全部を身につけていない18歳以下の人間」の写真はありませんか?
水着を着ている写真も含みますよ?
アルバムには?
卒園、卒業アルバムには?
……そういうことなのです。
もちろんその写真が身内だろうと自分の子供だろうと関係はありません。
警察に知られれば、起訴されるか否かはべつにしても、逮捕、拘留される可能性は極めて高いのです。
そんなばかな、と思われますか?
しかし、すでに実例があります。
 
アメリカではこの単純所持の禁止はすでに、現行法に盛り込まれています。
そんな中、ある主婦がフィルムを現像に出しました。
そのなかには、自分の子供が風呂に入っている写真が混じっていました。
それを見た現像屋の店員は警察に通報。
主婦は拘束され、尋問を受ける羽目になってしまいました。
 
このケースでは、わざわざ通報した店員に非難の矛先が向きそうですが、それは違います。
持ち込まれた非合法物品を看護し、そこを警察に押さえられたら自分が逮捕されてしまいます。
これは正当な通報なのです。
警察にしても、物証を伴う通報を受けた以上、なおざりにするわけにも行きません。
最低限事情聴取、ということになってしまいます。
 
さらに、この法律はインターネットと組合わさると、さらに恐ろしいものに変わります。
たとえばパソコンで、ある無害なブログを閲覧していたとします。
そこには、「長男が生まれました」という記事と共に、おむつだけを着用した赤子の写真が掲載されています。
……まあ、この時点でブログ作者は規制に抵触しているわけですが。
では、このブログを見たあなたは、どうでしょうか。
見ただけだから問題はないのでしょうか。
答えは、アウト。
この写真を見た瞬間、あなたは単純所持規制に抵触したことになります。
実はほとんどのパソコンでは、閲覧したwebサイトは自動的にハードディスク内に保存されています。
これは一度表示したページを次回から素早く表示するためですが、これにより、一瞬でも閲覧した画像はその瞬間に、あなたの所持品となるわけです。
では、そのようなインターネットのキャッシュフォルダは規制対象外にすればいい?
しかしそれはできません。
それを許せば、「非合法なデータはキャッシュフォルダにいれていけばよい」というザル法になってしまうためです。
 
また、この法規制は次のように悪用することが出来ます。
 
悪人である私は、同僚のAをなんとか破滅させたいと考えているとします。
そこで私は、謀をします。
自分の娘(1歳)が風呂に入っている写真をAのデスクに忍ばせ、警察に通報するのです。
職場に踏み込んで来た警官はAのデスクから写真を見つけ、彼を拘束してしまいました。
Aは不起訴になりましたが、もうこの職場には居られません。
私はA職場から追放することに成功しました。
 
とても簡単ですね。
このような法規制がまさに今、日本にもできようとしています。
しかも規制の範囲が写真だけでなく絵画やCGにまで広がれば、影響は指数関数的に拡大します。
 
この法案は民主、自民、公明など主要各党から推され、遅くとも七月までには採択されるといわれており、かなり切迫している状況です。
ただ、打開策はあります。
児童ポルノの定義を絵画、CGにまで拡張する規制強化案は実は、数年前に一度出されているのです。
しかしその時は、憲法に保証されている表現の自由が侵される等として有志による大規模な反対活動が展開され、廃案に追い込まれました。
そして今回も、インターネット上では反対活動と共に、この危険な法案の存在を一般に伝える活動が展開されています。
私も先日、自民党ほか主要政党に対し、意見文を送付しましたし、この日記もその一端ですね。
この日記を読まれた方、別に反対運動に加われとはいいませんが、日本にはこのようなおかしな法案がいくつか存在している、ということを覚えておいてくださいな。
(例えばこの児童ポルノ法と並んで現在危惧されている人権擁護法案が可決されれば、極めて強力な情報・思想統制が可能になります……が、まあ、日本は平和ですからこれが何を意味するのかは、理解しようと積極的に努力しない限りピンと来ないでしょう。ただ、可決されたらその時はもうゲームオーバーですが……)
そして、いつか興味を引かれる怪しい法案を知り、自分にはなにかできないのか、と思うことがあったら、その法案の名前で検索をかけてみてください。
おそらく、「自分にできること」が明確に解るはずです。
 
以上、2400文字で携帯からお伝えしました。
 
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明日は研究室に9時。
XRDの装置設置に立ち会わなければいけないらしい。
うへぇ。





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