徒然狸 -タヌキの日記-

――空。美しい空。悲しい空。何かを置き忘れてきてしまったような、空。

拡張現実について

21世紀を待つまでもなく仮想現実は普遍のものとなりました。
ロールプレイングゲームなんてまさにそれ。
現実には存在しない世界を画面の中に描画し、キャラクターを操作してその世界で活動する。
最近、Youtube上でPlayStation 20周年記念のCMが流されていましたが、そのキャッチフレーズの一つ
 
「僕たちは、今まで、何度、世界を救っただろう?」
 
ゲーム機を通して、数々の仮想現実の世界を我々は確かに生きてきた。
そんなことを実感させるすさまじいフレーズだと怖気さえ覚えました。 
そして21世紀に入り、我々は仮想世界と現実世界との融合である、拡張現実の世界を目前とするに至りました。
 
えーと。
つまり現実世界に対し、実際には存在しない情報を重ね合わせ、新たな世界を知覚させてくれるものですね。
最近、戦友のI氏からそんな拡張現実を用いたスマホのゲームを教えてもらいました。
Ingress
これはGoogleが運営しているらしいゲームで、要は、陣取りゲームです。
プレイヤーは「エージェント」となり、青と緑の2チームに分かれます。
そして地図上で自分のチームの陣地を増やすことを目的として活動(プレイ)するわけです。
地図上には「ポータル」と呼ばれる地点が無数にありまして、これは占拠することができます。
青チームが占拠したポータルは青く表示され、緑チームが占拠したポータルは緑色に表示されます。
相手チームのポータルを攻撃して自分のポータルにし、さらに近隣のポータル同士をリンクさせて陣地を広げていく、というのが、エージェントの仕事です。
 
で、その地図とはGoogleMap。
実際の世界地図の上で、青チームと緑チームがポータルを奪い合い、陣取りゲームをするのです。
 

世界中のプレーヤーが陣取り合戦を繰り広げている。
 
ポータルとして設定されているのは、身の回りのちょっとしたもの。
例えば駅だとか、コンビニとか、お地蔵さんとか道祖神とか祠とか公園とか、寺社仏閣とか、モニュメントとか。
それらの場所に実際に歩いていくなどして移動し、敵チームの陣地であれば攻撃して自分のチームの陣地にする努力をします。
(自分の位置はGPS情報で決定されるので、本当にその場所までいかないとなにもできない)
自分のチームの陣地になっていれば敵に奪われないよう、強化するなどの作業をします。
 

緑色に光り輝いてるドラゴン花火みたいなのが緑チームのポータル。
ポータルの中心点まで40 mの範囲に実際に近づかないとほとんど何もできない。
上のほうに見える緑色の海は既に形成されている緑チームの陣地。
白い点は、エージェントが活動するのに必要なエネルギー。
このエネルギーを拾い集めながら移動することになる。
(エネルギー切れになってもゲームオーバーにはならんけど、ゲームに寄与する一切の行動はとれなくなる)
 
このゲームは世界中でプレイされており、もちろんあなたの街のお地蔵さんやセブンイレブンもポータルに設定され、エージェントたちが激しい戦いを繰り広げているのです。
(近所のお地蔵さんの前でスマホをつついてる人がいたらそれはエージェントだ。気を付けろ・・・!)
 
何がおもしろいって、まあわけわからんのですが。
とりあえずお散歩を楽しめます。
あれ、こんなところに道祖神があったのかとか、近所に無数の発見があります。
そしてその道祖神を自分の陣地にすることで愛着がわきます。
道祖神をほかのポータルにリンクさせて陣地を広げたくなります。
ある朝気づくとその道祖神が敵チームに占拠されてると悔しくなり、味方のエージェントが強化してくれてると訳もなくうれしくなります。
そういえばあなたの学校や会社はポータルになっていない?
何気なく生活しているその座標、別次元では実は重要な戦略拠点になっていて、エージェントが激しい戦いを繰り広げているかもしれない。
 

関東地方ももちろん戦闘区域内である。
 
ぼくはそういう異次元の世界観が好きで、将来の夢は「開かずの間」がある家に住むことですが。
見慣れた光景の中、自分の意識の範囲外に実は全く別の世界が広がっている感じがどうしようもなく好きなので、現在はまっています。
家の周りを歩き回ったり、自転車で行った隣町でポータルを占拠したり。
出張先で意味もなく破壊活動をしたり。
そういえば先日行ったミュンヘンでも暇な時間に歩き回り、無意味に陣地を広げたりしていました。
(自分がかかわったポータルでは「ポータルキー」というアイテムがもらえることがあり、これを使うといまそのポータルがどういう状況にあるのか遠隔でわかります。ミュンヘンのポータルはあっけなく敵に奪われております笑)
 
まあ、そういう拡張現実が実は結構身の回りに浸透してきており、遊びも次元を超えてきているというお話でした。
 
道端で戦ってると車にひかれるので注意
徒然狸 ―タヌキの日記―
 

筆者は盲導犬尊敬し、個人的に応援しています。
http://www.moudouken.net/





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